May 16, 2009
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国内で感染者が出たわけではない。世界保健機関(WHO)は、それが人への感染を媒介しているとの証拠はないともいう。それでもエジプト政府は、新型インフルエンザ「対策」として、国内の豚35万頭すべての処分を始めた。
随分な過剰反応に見えるが、どうも処分の理由はそれだけではないらしい。エジプトの豚の生育環境は劣悪だ。ごみ処理業者がごみをえさに与えている例も多い。そんな不衛生な状態を解消するため、新型インフルエンザ騒ぎを利用した面もある。
さらに国民の9割を占めるイスラム教徒にとって、豚は不浄な動物だ。豚を飼っているのは、日ごろから有形無形の圧迫を受けている少数派のキリスト教系コプト教徒。そんな状態と今回の措置が無関係とは、ちょっと考えにくい。
こんな話は日本とは縁遠い、とは言い切れない。新型インフルエンザの感染者が次々と確認されている。そうした中で身近に感染者が出たら、感染者を責め、その人が諸悪の根源であるかのように言い立てる人が現れる恐れもある。
そうする人にとってはきっと、ただの過剰反応ではない。日ごろから抱えている社会への不満や心の中のドロドロしたものが、そうした形で感染者に向けられるのだろう。鬱憤(うっぷん)晴らしに新型インフルエンザを利用するのだろう。
今のところ毒性がそう強くないとはいえ、新型インフルエンザが怖い存在であることには違いない。だがそれ以上に怖いのは、人間の心の中なのかもしれない。
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5月11日付・新型より怖い―四国新聞社 (via shenqi)